決算解説ブログ IROG

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【決算解説】ECへの流出により中国事業を撤退「ハニーズホールディングス」

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今回は、オリジナルブランドに強みを持つハニーズ株式会社の持株会社「ハニーズホールディングス」の2018年度5月期の決算解説です。

まとめ

  • 今期の売上高は前年比3.8%減の524億4,100万円、営業利益は11.3%増の26億円で減収増益
  • EC事業はZOZOTOWNに出店し、売上が前期比45%増と好調
  • 郊外のモールやECへの流出により、中国の小売事業を撤退
  • CINEMA CLUBは成長しているものの、その他のブランドは低迷、新たな成長分野が欲しいところ


事業概要

ハニーズは、高感度・高品質・リーズナブルプライスをコンセプトとした3つのオリジナルブランドを展開しています。 
 
・GLACIER
大人の女性のためのおしゃれ着ブランド
 
・CINEMA CLUB
様々な用途に応えるノンエイジブランド
 
・COLZA
流行に遊び心を加えたヤングカジュアルブランド

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上記のブランドに加え、様々な服飾雑貨を販売しています。また、日本だけでなく、中国にも進出しています。

2018年5期の業績・収益構造(P/L)

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今期の売上高は前年比3.8%減の524億4,100万円、営業利益は11.3%増の26億円で減収増益となっています。営業利益は増加しているものの、売上高はここ数年下がり続けています。

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当然、売上成長率もマイナスとなっています。

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国別に売上高を見ていくと、日本は前年比1.2%増の465億2,700万円と奮闘しているものの、中国は29.2%減の60億8,000万円と徐々に縮小しています。
 
国内事業ではZOZOTOWNに出店し、ECの売上が前期比45%増と好調なようです。

 

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中国では、今年度225店舗を退店しています。中心市街地の百貨店から、郊外のモールやEコマースへの流出が起きているため、本年9月末を目処に小売事業から撤退するようです。

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セグメント別の売上高も見ていきます。最も売上高が高いのは「CINEMA CLUB」の120億7,800万円で、全体の26.1%を占めています。また、「COLZA」は120億3,300万円、「GLACIER」は165億900万円となっています。
 
CINEMA CLUBの売上高が順調に拡大している一方で、それ以外のブランドは低迷しているようです。

 

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続いて、コスト構造です。売上原価率は42.9%、販管費率は52.1%、営業利益率は5.0%となっています。ここ数年、その構造比に大きな変化はありません。

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販管費の内訳は、人件費と店舗費が多くを占めています。
 

2018年5期の資本価値(B/S)・キャッシュフロー(CFS)

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バランスシートも見ていきます。資産の合計は379億1,600万円、負債は78億6,800万円、資本(純資産)は300億4,800万円です。
 
現金及び預金は82億3,500万円で、資産全体の21.7%を占めています。
資本の内訳は、資本金及び資本剰余金が75億700万円、利益剰余金が221億900万円とかなり積み上がっています。

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営業キャッシュフローは常にプラスとなっています。

 

2019年5月期の通期計画

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最後に、2019年5月期の計画です。国内事業は現状のパフォーマンスを維持しつつ、伸びしろのあるEC事業及び服飾雑貨に力を注いでいくようです。また、中国事業は9月末までに全店閉鎖し、撤退をしていきます。

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中国事業の撤退による減収をカバーするため、新たな成長分野を模索していく必要があります。上述したECはん3年後までにEC化率7%を目指すということで、まだまだ可能性が大きそうです。また、CINEMA CLUB以外のブランドが低迷しているため、何らかのテコ入れが必要でしょう。

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2019年5月期の業績見通しは、売上高が前期比8.1%減の482億円、営業利益が30.7%増の34億円です。

中国における小売事業に見切りをつけ、撤退を進めるハニーズ。CINEMA CLUBやEC事業が伸びてはいるものの、新たな成長分野を見つけていきたいところ。どのように成長を図っていくのでしょうか?

引用:
株式会社ハニーズホールディングス 2018年5月決算説明会