決算解説ブログ IROG

決算資料をもとに様々な企業・業界の分析をしていきます

【決算解説】自社ブランドの牽引で過去最高の売上を記録「デサント」

f:id:sdaisuke:20181218170514j:plain

今回は、スポーツウェアの専門メーカーである「デサント」の2019年3月期 第2四半期の決算解説です。

まとめ

  • 上期の売上高は前年同期比1.2%増の667億6,800万円で、過去最高を記録
  • オリジナルブランドである「デサント」に経営資源を集中し、ここ7年間で売上高が3倍超に増大
  • 日本・韓国・中国の主要3カ国で増収し、着実にエリア別のポートフォリオを確立
  • 第4の柱として欧州・東南アジアに進出


事業概要

デサントは、「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」を企業理念とし、10種類以上のスポーツウェアブランドを展開しています。

デサント
トップアスリートと共同開発をしているデサントのオリジナルブランドで、高機能・高品質・デザイン性に優れたスポーツウェア

ルコックスポルティフ

1882年にフランスで生まれた伝統的なスポーツブランド

マンシングウェア

ペンギンマークをシンボルとした、アメリカ発のゴルフウェアブランド

アリーナ

スイミングをはじめ、ウォータースポーツに関するウェアを取り扱っているスポーツブランド

アンブロ

1924年にイングランドで誕生したフットボールブランド

また、世界各国へのグローバル展開に積極的で、売上の半分以上を占めています。日本に続いて、韓国・中国を第二・第三の柱とし、今後は欧米や東南アジアへも進出していくようです。

 

19/03 第2四半期の業績・収益構造(P/L)

第2四半期は過去最高の売上高を記録

f:id:sdaisuke:20181218172124p:plain

第2四半期(上期)の売上高は前年同期比1.2%増の667億6,800万円で、過去最高を記録しています。また、営業利益は15.5%減の28億7,300万円で増収減益となりました。

f:id:sdaisuke:20181218172150p:plain

エリア別の売上高では、日本・韓国が着実に増加しています。なお中国の売上高は1億円の減少となっています。これは日本からの輸出が減っている一方で、現地企画・現地生産が増えているものの、ジョイントベンチャー3社の取り組みのため、決算書上で売上が出てこないためだそうです。実質上は増収となっています。

 

日本・韓国・中国の主要3カ国でデサントが好調

f:id:sdaisuke:20181218172222p:plain

続いて、ブランド別の売上高です。オリジナルブランドであるデサントが牽引していますが、それ以外のブランドの多くが減少しています。

f:id:sdaisuke:20181218172320p:plain

売上全体の4割を占める日本では、売上高が前年同期比1.5%増の274億円となっています。中でも、デサントとルコックスポルティフが着実に売上を伸ばしています。

f:id:sdaisuke:20181218172337p:plain

第二の柱である韓国は、売上高が前年同期比+0.3%と微増しており、日本と同様にデサントの売上が拡大しています。

f:id:sdaisuke:20181218172355p:plain

上述したように、中国の現地における売上高は増収しています。正確な数字は不明ですが、グラフからいずれのブランドも売上を伸ばしていることがわかります。

f:id:sdaisuke:20181218172428p:plain

f:id:sdaisuke:20181218172454p:plain

各ブランドのレビューです。デサントの売上高は前年同期比8%増の276億円で、最も売上を伸ばしているブランドとなっています。幅広いマーケティング活動の実施や、各国の新規店舗の開店が売上に結びついています。中国では、昨年末の店舗数は64でしたが、早くも100店舗目をオープンしたようです。
 
また、2番目に売上高の大きいレコックスポルティフはインドネシアに、ゴルフウェアブランドのマンシングウェアはベトナムに新たに店舗を開店しています。本当に様々な国で展開していますね。

19/3期 第2四半期の資本価値(B/S)・お金の流れ(CF)

f:id:sdaisuke:20181218172938p:plain

バランスシートも見ていきます。資産の合計は1,101億300万円、負債は334億1,700万円、資本(純資産)は766億8,600万円となっています。
 
現金及び預金は231億1,500万円で、資産全体の21%を占めています。
資本の内訳は、資本金及び資本剰余金が291億2,700万円、利益剰余金が459億7,900万円となっています。

f:id:sdaisuke:20181218173002p:plain

続いて、キャッシュフローです。営業CFは23億2,400万円ですが、支払法人税の増加と未払消費税の減少により、前年から11億円減少しています。また投資CFは、R&Dセンター投資の増加により、前年比12億円減の47億6,600万円となりました。現金残高は219億2,000万円です。

 

19/3期の通期計画

f:id:sdaisuke:20181218173227p:plain

通期計画に変更はありません。2019年の売上目標は1,480億円で、前年比5%増の過去最高を目指しています。第二四半期(上期)の売上高は667億6,800万円のため、進捗率は45.1%となっています。上期の計画は未達となりましたが、冬シーズンはイベントが多いため、計画達成の可能性は大きいかと思われます。

 

中期経営計画

f:id:sdaisuke:20181218173303p:plain

最後に中期経営計画についてです。売上高・経常利益ともに順調に拡大しており、2019年3月期は過去最高の売上高1,480億円を目標としています。

f:id:sdaisuke:20181218173331p:plain

エリア別の売上高構成比もバランスが良くなっています。第3の柱である中国の割合が増加し、今期は日本が36%、韓国が49%、中国が15%の構成となっています。

 

f:id:sdaisuke:20181218173355p:plain

ブランド別のポートフォリオも同様です。ライセンス契約の他社ブランドに依存せず、オリジナルブランドである「デサント」に経営資源を集中し、売上高を拡大しています。

f:id:sdaisuke:20181218173413p:plain

上記に加え、中長期的に成長できるよう、様々な取り組みをしています。第4の柱として欧米・東南アジアに進出するほか、他社との連携によりブランドや商品の強化を図っています。

エリア・ブランドごとに事業ポートフォリオを確立しながら、更なる成長に向けた種もしっかりと蒔いているデサント。引き続き、売上高の記録を更新していくのでしょうか?

引用:
株式会社デサント 2019年3月期 第2四半期決算説明資料