【決算解説】カジュアルを軸にした新ブランドを開始「TOKYO BASE」
今回は、2008年の設立以来、連続増収を続けている「TOKYO BASE」の2019年2月期第2四半期の決算解説です。
まとめ
- 今期(累計)の売上高は前年同期比3.3%増の57億3,300万円、営業利益は28.9%減の4億7,100万円で増収減益
- 低価格帯オリジナル企画商品の廃止や商品の品揃えの不足により、主力ブランドである「STUDIOUS」の売上高が減少
- カジュアルを軸にした新ブランド「PUBLIC TOKYO」を開始
- 通期計画を下方修正、売上高が予想以上の落ち込み
事業概要
TOKYO BASEは、2008年に創業し、2015年に東証マザーズへ上場、そして2017年に東証一部に昇格した新進気鋭のアパレル企業です。「日本初ファッションスタイルを世界へ」という理念を実現すべく、STUDIOUSやUNITED TOKYOといった複数のブランドを展開しています。
・STUDIOUS(ST)
日本国内の東京ブランドに特化した次世代セレクトショップ
・UNITED TOKYO(UT)
ALL MADE IN JAPANにこだわった「グローバルコンテンポラリー」ブランド
・CITY(CT)
都心で働く大人の女性に向けたスーパーファブリックブランド
・PUBLIC TOKYO(PT)
上質なALL MADE IN JAPANに徹底的にこだわり、ルールやジャンルに捉われない都会的スタンダードを追求するハイエンドカジュアルブランド
2019年第2四半期の業績・収益構造(P/L)
今期(累計)の売上高は前年同期比3.3%増の57億3,300万円、営業利益は28.9%減の4億7,100万円で増収減益となっています。新規出店に伴う人件費や家賃等の増加が営業利益を押し下げる要因となったようです。
業態別に売上高を見ていくと、STは前年同期比6.5%減の35.2億円、UTは21.6%増加の19.1億円、CTは38%減少の1.2億円となっています。全体のEC化率は35.7%と、他のアパレル企業に比べ高めですね。
STは前年に比べ売上高がやや落ち込みましたが、低価格帯オリジナル企画商品の廃止や商品の品揃えの不足が主な要因のようです。
UTは売上前年対比は増加しているものの、徐々にその成長率は緩やかになっているようです。またCTは今年度で廃止することを決定し、その他のブランドへ集中投資していきます。
STは前年に比べ売上高がやや落ち込みましたが、低価格帯オリジナル企画商品の廃止や商品の品揃えの不足が主な要因のようです。
UTは売上前年対比は増加しているものの、徐々にその成長率は緩やかになっているようです。またCTは今年度で廃止することを決定し、その他のブランドへ集中投資していきます。
2019年第2四半期の資本価値(B/S)
続いて、バランスシートです。資産の合計は76億1,000万円、負債は31億6,300万円、資本(純資産)は44億5,600万円となっています。
現金及び預金は40億3,800万円で、資産全体の53%を占めています。
資本の内訳は、資本金及び資本剰余金が7億9,168万円、利益剰余金が36億1,500万円です。
2019年度の通期計画
2019年の通期計画は下方修正され、売上高は132億3,300万円、営業利益は13億5,000万円です。当初の見込みは大きく外れ、下方修正後の数値に対する各進捗率は43.3%、34.9%となっています。
上述したように、STの売上が伸び悩んだことが下方修正に繋がっています。
PUBLIC TOKYO(PT)は、今秋から開始した新ブランドです。
これまではモードを軸に展開してきましたが、PTではカジュアルを軸にハイエンドな商品を提供し、新規顧客の獲得を狙っていくようです。
各業態の下期の重点取り組みです。STはオリジナル商品力の強化やプロパー消化率の向上に取り組んでいきます。プロパー消化率とは「全体の商品に対して定価販売した割合」のことで、この数値を高めることは利益率やブランド力の向上に繋がっていきます。
好調だったUTは、さらなる成長が見込めるよう、都心店の商品力強化や地域特性を活用した新商品開発に取り組んでいくようです。
PUBLIC TOKYO(PT)は、今秋から開始した新ブランドです。
これまではモードを軸に展開してきましたが、PTではカジュアルを軸にハイエンドな商品を提供し、新規顧客の獲得を狙っていくようです。
今後の方向性
最後に今後の方向性です。今後はSTUDIOUS、UNITED TOKYO、PUBLIC TOKYOの3つの業態を軸に、営業利益率10%・売上高1,000億円を目指していきます。
日本発のファッション・コングリマリットに向けて、新規事業やM&Aなどに積極的に取り組んでいくようです。
アパレル業界が低迷する中、年々売上高を拡大し続けているTOKYO BASE。徐々に成長率は下がってきていますが、伸び悩んでいるCITYを廃止する一方で、新ブランドであるPUBLIC TOKYOを開始するなど、さらなる拡大に向けた取り組みをしっかりと行なっているようです。目標とする売上高1,000億円へどのように駆け上がっていくのか、今後も要注目です。
アパレル業界が低迷する中、年々売上高を拡大し続けているTOKYO BASE。徐々に成長率は下がってきていますが、伸び悩んでいるCITYを廃止する一方で、新ブランドであるPUBLIC TOKYOを開始するなど、さらなる拡大に向けた取り組みをしっかりと行なっているようです。目標とする売上高1,000億円へどのように駆け上がっていくのか、今後も要注目です。