【決算解説】婦人下着市場トップの座が危ぶまれる「ワコールホールディングス」
今回は、インナーウェアの最大手企業である「ワコールホールディングス」です。大手アパレルの多くが総合アウターメーカーとなっている中、インナーウェアを中心に事業を展開してきたワコール。現状はどうなっているのでしょうか?
まとめ
- 今期の売上高は前年同期比0.2%減の1,018億1,500万円、営業利益は5.4%減の89億9,400万円で、夏場の売上低迷により減収減益
- 国内のワコール事業は全般的に苦戦しているものの、自社ECの売上は10%増加
- 海外事業では欧州・中国が好調で、EC売上の成長により、営業利益が前年同期比二桁%増を記録
- ファーストリテイリングが急拡大している婦人下着市場、ワコールの今後の動向に注目
事業概要
ワコールホールディングス(以下、ワコール)は、”ワコール”や”ピーチ・ジョン”などのブランドを保有し、国内の婦人下着市場でトップシェアを誇る企業です。
ワコール事業(国内)
ワコールの主力商品である婦人下着ブランド。1949年に、創業者塚本幸一の「日本の女性を美しくしたい」という思いから生まれ、以来同社を牽引してきました。
ワコール事業(海外)
ワコールは1970年代から海外に進出。米国、欧州、中国をはじめ、世界各国で展開しています。
ピーチ・ジョン事業
若い女性に人気のある下着ブランド。若者向け市場を開拓するべく、06年に資本提携を結び、08年に完全子会社化しました。
その他事業
インナーウェアを中心とした衣料品事業だけでなく、飲食や店舗内装工事等の事業も取り組んでいます。
19/03 第2四半期の業績
19年第2四半期の売上高は前年同期比0.2%減の1,018億1,500万円、営業利益は5.4%減の89億9,400万円となっています。国内事業の夏場の売上低迷が響いているようです。
セグメント別に見ていくと、ワコール事業(国内)とピーチ・ジョン事業が減収減益である一方、ワコール事業(海外)は増収増益となっています。
国内のワコール事業は、今期の売上高が前年同期比2.9%減の534億1,300万円です。事業内容は、主に卸売、小売、WEB販売がありますが、夏場の低迷の影響により全般的に苦戦しています。
WEB販売事業に関しては、自社ECの売上が10%増加したものの、カタログの売上が14%減少したことにより、このような結果となりました。
海外のワコール事業は、売上高が前年同期比3.9%増の288億2,000万円、営業利益が7.6%増の38.4億円と好調なようです。特に欧州と中国では、ECの売上の成長が大きく、営業利益が前年に比べ30%以上増加しています。
最後に、ピーチ・ジョン事業の売上は61億3,500万円で、前年同期比1.8%の減少をしています。通販事業が復調するものの、店舗事業が苦戦しているようです。
今後の方針
上述したように、売上が伸び悩んでいますが、通期計画に変更はありません。19年の通期業績予想は、売上高が前期比2.2%増の2,000億円、営業利益が13%減の100億円としています。今後は、国内事業は生産性を高めつつ成長軌道へ回帰していく一方で、海外事業は投資を厚くし成長を加速させていく方針です。
(引用:https://www.scoopnest.com/ja/user/4ki4/1013103837370912768--)
長年、婦人下着市場のトップを維持してきたワコールですが、この10年間でファーストリテイリングがシェアを急拡大しており、その差は僅かとなっています。これに対して、ワコールがどのような対策をとっていくのか、今後の動向に注目が集まります。